これまでは直線的に伝わる波ばかりを扱ってきた。今回は、波を真上から観察している様子を想像してみよう。波面が円(球面)である波を球面波、波面が直線(平面)である波を平面波という。どちらも、波の進む向きが波面に対して常に垂直になっていることがポイントだ。
まずは反射から。ポイントは、反射面に垂直な面に対して、入射角iと反射角jが等しくなっているということ。
たったこれだけなので、作図をする場合には丁寧に描こう。
媒質①と②の境界面で波の進む向きが折れ曲がる現象を屈折という。屈折は、媒質を進む波の速さが違うことで起こる。波面と進む向きが直交した状態を保とうとして、折れ曲がるのだ。
また、屈折面に直交する面に対して、入射波への角度を入射角i、屈折波への角度を屈折角rという。
さてここで、媒質①を進む波の速さをv1, 媒質②を進む波の速さをv2として、図のオレンジ色の距離を通過する時間をtとすると、
という2つの関係式を作ることができる。よって、これらより、
が成り立つ。
さらに、媒質①と②における波の波長をそれぞれλ1, λ2とする。周期Tの間にそれぞれ1波長ずつ進むから、
となる。よって、これらより、
という関係が得られる。
まとめると、
となる。このとき、n(1→2)を「媒質①に対する媒質②の屈折率」という。
波が隙間を通過したりするとき、障害物に沿って回り込んで進む現象を回折という。
ただし、隙間に対して波長が短すぎる場合にはあまり回折しないので注意。例えば、音の波長よりも光の波長はうんと短いので、隣の部屋から音は聞こえてきても様子は見えないのだ。
同じ振幅の山と山がぴったり重なると、それらは互いに強め合い、元の2倍の高さの山が現れる。また、谷と谷がぴったり重なった場合は、元の2倍の深さの谷が現れる。逆に、同じ振幅の波の山と谷がぴったり重なると、それらは互いに打ち消し合い(弱め合い)、波が無くなったように見える。このような、波が互いに強め合ったり打ち消し合ったりする現象を波の干渉という。
簡単のために、波源S1,S2は同じタイミング振動し、波が発生しているとしよう。すると、そのど真ん中の点では必ず波が強め合うことになる。この位置を点Pとすると、
である。また、波源S1からλだけ離れた点も、波源と同じタイミングで振動するはずで、その点とS2の中点をPとすると、P点でも波は強め合う。
さらに、S1から2λや3λ離れている点も、波源と同じタイミングで振動するから、それらの点とS2の中点Pにおいても波は強め合う。
……
つまり、0以上の整数mを使って、
となる点Pにおいて、波は強め合うということだ。絶対値になっているのは、P点がS1寄りでも同じことが言えるからである。
波が強め合う点をつなぐと上図のようになる。
次は、S1から半波長離れた位置の振動を考える。この点は波源と真逆のタイミングで振動するから、この点とS2の中点をPとすると、P点で波は打ち消し合うことになる。
さらに、S1から3/2波長離れている点や、5/2波長離れている点も波源と真逆のタイミングで振動するから、それらの点とS2の中点Pにおいても波は打ち消し合う。
……
つまり、0以上の整数mを使って、
となる点Pにおいて、波は打ち消し合うということだ。
波が打ち消し合う点をつなぐと上図のようになる。強め合う点をつなげた図と比べると、交互になっていることが分かる。