音の性質


 空気の振動が耳まで伝わってくる現象を音(音波)という。今回は音の性質について詳しく見ていこう。

縦波


 波の進行方向に対して、媒質が垂直に振動する波を横波、平行に振動する波を縦波という。音は縦波なので、はじめは縦波について説明しよう。

 

 波がx軸方向に進んでいるとき、縦波はx軸に沿って振動するので、このままではグラフ上に表すことができない(常にy=0)。そこで、各媒質の振動の中心をy=0として、右への変位をy>0,左への変位をy<0として表すことにする。

 

 すると、縦波の様子も正弦波として表せるようになる。このとき、山の部分は右へ、谷の部分は左へ変位している点の集まりであることに気を付けよう。また、縦波では媒質が集まってきている点●と、離れている点〇が等間隔で存在している。●を、〇をというので覚えておこう。

 

 

問題 

(1)媒質の変位が右向きに最大の点はどこか。

(2)媒質の速度が0の点はどこか。

(3)媒質の速度が右向きに最大の点はどこか。

 

解答

(1)山の部分が右に変位している媒質の集まりだから、最も右向き

 に変位しているのは山の頂点。よって、B,F

(2)速度が0になるのは単振動の両端である。これは山の頂点と谷

 底だから、B,D,F,H

(3)最も速さが大きいのは振動の中心(y=0)。このうち、次の瞬間

 から右へ変位していく部分を選べばよい。よって、C,G。これは

 密な点と一致する。


 音について大切なことは、とりあえず次の3つ。

  • 縦波である。
  • 音速は約340m/sであり、気温が高いほど速い。
  • 反射、屈折、回折、干渉という波の性質を持つ。

ちなみに、気温がt℃のとき、音速V〔m/s〕は

という近似式で表されるが、覚えなくても大丈夫。

 それから、音楽が好きな人にはなじみ深いと思うけれど、音の違いは次の3つの物理量の差で起こるので知っておこう。

  1. 大きさ…振幅が大きいほど大きな音。
  2. 高さ…振動数が大きい(波長が短い)ほど高い音。
  3. 音色…波形の違い。

これらを音の3要素という。

うなり


 わずかに振動数の違う音を、別のスピーカーから流すと、ウォンウォンウォン……と音が大きくなったり小さくなったりして聴こえる。この現象をうなりという。

 さて、いま、スピーカー①②からそれぞれ振動数f1,f2の音が出ているとする。

このとき、うなりは2つの波が重なり合うことで発生する。

ここで、加法定理から得られた式

について、

とすると、

だから、yは

となる。

 

 これをグラフに表すと、上図の赤線になる。また、このグラフはピンクで示したような大きな振動も繰り返している。これがうなりである。このとき、赤線のグラフの振動数は、

であり、ピンクのグラフの振動数が、

である。

 ここで、振幅の大小は音の大小であることを思い出すと、うなりはピンクのグラフの影響で聴こえてくることがわかる。このとき、うなりの周期Tを、音が小さくなってから再び小さくなるまでの時間と定めると、Tは、ピンクのグラフの周期の1/2ということになるから、

1秒間あたりのうなりの回数 f (=1/T)は、

ということになる。f1とf2のうち、どちらが大きくてもよいので絶対値を付けておいた。

 

問題

 異なるスピーカーから432Hzの音と428Hzの音が出ているとき、1秒間あたりのうなりの回数fを求めよ。

 

解答

 f1=432, f2=428としてうなりの公式より、

よって4回