いよいよ電流の話を始めよう。小学校・中学校で親しんだ電圧や抵抗といった言葉も登場するので、それぞれの定義をしっかり覚えてもらいたい。中学校からのステップアップを期待しているぞ!
ある断面Sを、1秒間に+1〔C〕の電荷が通過したとき、「1Aの電流が流れた」という。つまり、電流I〔A〕は、1秒間に断面Sを通過する電気量q〔C〕のことだと言える。式にすると、
となる。
ところで、導体を流れる電流の正体は、導体内部を自由に動き回ることのできる自由電子だった。そこで、この自由電子(電気量-e〔C〕)を考えて、電流I〔A〕を求めてみよう。
導体内の、とある断面S(面積S〔m2〕)を1秒間に通過する電子の数は、電子の速さをv〔m/s〕として、断面Sよりも手前にある体積vS〔m3〕の領域にある電子の数を数えればいい。この数は、1m3あたりの電子の数(電子密度)をn〔個/m3〕とすれば、nvS個と表せる。ここで、電子1個1個の持つ電気量の大きさがeであるとき、1秒間に断面Sを通過する電気量の大きさI〔A〕は、
ということになる。
ところで、今でこそ電流の正体が自由電子の移動であると分かっているが、電流が定義されたときにはもちろん分かっていなかった。そんな中、
であると定められてしまった。だから、電子の流れる向きと、電流の流れる向きはまったくの逆向きなのだ。注意しよう。
ここで、1m2の面を1秒間に通過する電気量をiと表すことにしよう。これを電流密度という。すると、微小面積dSを通過する微小な電流dIは、
と表されるので、これを断面積S全体について足し合わせることで、導体内を流れる電流Iを求めることができる。
化学変化によって電位差V〔V〕を作り出す装置を電池という。また、このときの電位差を電圧ともいう。ここで大切なのは、電位φ〔V〕と電位差V〔V〕を確実に区別しておくこと。電位の差を電位差といって、電位差のことを電圧ともいうのだ。
問題
図のように電池をつないだとき、A,B,C点の電位を求めよ。ただし、O点の電位を0Vとする。
解答
OA間の電位差が3Vで、A側の方が電位が高いので、
それから、AB間の電位差が5Vで、B側の方が電位が高いので、
最後に、BC間の電位差が2Vで、C側の方が電位が低いので、
である。
電位の変化をグラフにしてみると、電池が電位差を作り出す装置だということが分かりやすい。電池の前後で電位が上下するというイメージを大切にしよう。
このようにしてAB間に電位差を作ってやり、AB間に電熱線を接続してやると、電位の高い方から低い方へ電流が流れるようになる。電位のグラフを見るとイメージしやすいと思うが、AB間に電位差がないと、電流は流れないので気を付けよう。
ここで、電位差(電圧)V〔V〕の大きさを変えながら流れる電流の大きさI〔A〕を調べていくと、上のグラフの関係になる。比例関係だ。このように、電圧Vと電流Iの間に比例関係があることをオームの法則という。
オームの法則を式で表すと、
となる。電圧Vが一定のとき、Rの値が大きいほど流れる電流Iが小さくなることから、Rを電気抵抗(抵抗)という。単位は〔Ω〕。