ベクトルHを「∇×H」と微分したものを「rot H」と表し、これが値を持つとき、Hが回転していることを意味する。
rot Hの大きさは、単位面積を持つ面の周囲を回転するHの量だと考えてもいい。すると、この量は面積に比例するから、面積dSの周囲を回転するHの量は、
と表されることになる。今回は、これを大きな面積Sを持つ面全体について足し合わせた量
ところで、rot Hを隣り合う面について計算して足し合わせると、重なっている辺の部分は互いに打ち消し合って消えてしまう。
だから、rot Hを大きな面積S全体で足し合わせた場合、外周を回転するHだけを考えればよいことになる。
閉じた経路Cに沿ってHをすべて足し合わせることは、
という関係が成り立っていることが分かる。これをストークスの回路定理という。ストークスの回路定理は、線積分と面積積分の変換公式だということもできる。
の左辺にストークスの回路定理を使ってみよう。すると、
となるので、次のように積分記号を外すことができる。
次は電場Eについて考察してみたい。
まずは電場Eと距離dの積が電位差V(=Ed)になったことを思い出して、これを
と表現し直す。また、キルヒホッフの第2法則より、閉回路Cを一周すると電位差Vは0に戻るのだから、
並べてみるととてもシンプルで綺麗だ。
電場や磁場が時間変化しない空間を静電場・静磁場といい、この4つの方程式は、静電場や静磁場に関する基本法則になっている。次回からは電場や磁場が時間変化する場合について考えていこう。